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第9章 謎の美女・深雪 2/4

last update آخر تحديث: 2025-05-06 18:00:57

 半月が過ぎた。

 あの後すぐ、小百合〈さゆり〉はサークルの合宿に向かった。

 この間悠人〈ゆうと〉は一人、自問自答を繰り返していた。

 自分にとって、小百合とは何なのか。

 あの時。あまりに唐突だったこともあり、彼自身動揺してまともに思考が働かなかった。

 しかしこの半月。

 小百合のいないこの街で一人。結論を出すには十分な時間だった。

 * * *

(俺にとって、小百合は大切な家族だ。決して失いたくない存在だ。

 しかし、それだけなのか?

 いや。

 違う。

 俺は自分の気持ちに気付かない振りをして、避け続けてきたんだ。

 恋愛をする恐怖に怯え、自分の心をだまし続けてきたんだ)

 小百合のいない半月が、果てしなく長く感じられた。

 あの時見せた小百合の涙。言葉にこそしなかったが、自分を想ってくれる小百合の心。そう思うと、胸がしめつけられそうになった。

 * * *

 物心ついた時から、ずっと一緒だった。

 初めは頼れる姉のような存在だった。何をしても自分より出来る、自慢の姉だった。

 誰よりも強い人。そう思い、憧れていた。

 しかし。

 自分のいじめられている現場を見られたあの日。夕焼けに染まる帰り道で、初めて見た彼女の涙に。本当は、こんなに儚くもろい人なんだ、そう感じた。

 あの時。俺が彼女を支え、守っていこう、そう心に誓った。

 中学に入ると、いつの間にか自分の方が大きくなっていた。

 小百合はスポーツ万能でソフトボール部キャプテン。中学最後の試合で勝った時、ウイニングボールをプレゼントしてくれた。その時の彼女の笑顔がまぶしすぎて、思わず目を背けてしまった。

 高校時代。

 練習中に脱水症状で倒れた時。拒む彼女を無理やりおぶって家まで送った。

 今まで自分より頑丈だと思っていたのに。実は自分よりも遥かに小さく、か細い人なんだと知った。大切に、大切にしないと壊れてしまうん
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